結論から言いますと、現時点で、設定だけでシステム間の連携を行うことはできません。連携用のプログラムを作る必要があります。

MauticにはSalesForceやZOHOなどとの連携用プラグイン(reCAPTCHAの記事参照)があり、その中にはVtigerも存在しています。但しこのプラグインはインドのVtiger社が提供しているクラウド版のVtigerとの連携のみをサポートしているようです。

https://docs.mautic.org/en/plugins/vtiger

今回は代替案含めて両システムの連携について解説していきたいと思います。

MauticからVtigerCRMへのデータ連携

Mauticからエクスポート、VtigerCRMでインポート

一番簡単なのは、Mauticからデータをエクスポートし、VtigerCRMでインポートすることです。

コンタクトの画面で連携対象のコンタクトを選択し、右上のボタンから[Export to csv]でエクスポートできます。

VtigerCRMでのインポート処理については、別記事([VtigerCRM]データをインポートする)を確認ください。

この方法では連携対象のデータが多い場合は効率的ですが、件数が少ない場合は直接VtigerCRMの画面に入力した方が早いと思います。件数が少ない時は、Mauticのスケジュールレポート機能を使って、定期的(最短、日次)に担当者にリストを送付し、担当者が手動で入力するといった運用になるかなと思います。

RPAを活用

RPAを使ってある程度の自動化が可能です。

  1. Mauticで連携対象のコンタクト一覧をレポート機能で作成
  2. Mauticのスケジュール配信機能で作成されたリストをメールで自動送付
  3. メールを受信した担当者がRPAを実行
  4. 以降はRPA(PAD)で処理
  5. 該当のメールを読み取り、ファイルを開き、リストの読み込みを実施
  6. VtigerCRMの見込客又は顧客担当者の画面を表示し
  7. [+新規追加]ボタンをクリックし、ファイルから読み取った情報を入力し、保存
  8. リストが終わるまで繰り返し

流れとしては以上のような流れになります。

重複データ発生時の処理などいくつかクリアすべき課題がありますが、RPA(PAD)を使って十分、実装可能な範囲だと思います。

この件に関して、近いうちに実装例をご紹介させていただきます。

Zapierを利用

Zapierはアプリケーション間のデータ連携を行うクラウドサービスです。

MauticとVtigerCRMの連携も可能です。

Zapierのサービスに関しては以下のページが大変参考になります。

ポイントは、月に100件までは無料で利用できることです。CRMシステムに連携するリードデータが月間100件以下であれば無料で実運用に使えます。

設定方法は、Mauticのコミュニティーサイトに詳細に掲載されていますのでご確認ください。

VtigerCRMからWebの閲覧履歴などを確認できるか?

SalesForceなどの高機能なCRM・SFAツールにはMAシステムと連携し、CRMシステムの画面上にWebの閲覧履歴やメールの送受信記録などを統合しています。

今のところVtigerCRMにはそのような機能はありません。そこで代替手段として以下のような使い方が可能です。

URLでリンク

幸いにもVtigerCRM、Mautic共にOSSなので全社員分ユーザーアカウントを作成しても費用はかかりません。両システムにログインさえしていれば、VtigerCRM上に作成したMauticのコンタクト情報へのリンクをクリックすれば該当のコンタクト情報が確認できるようになります。

[顧客担当者]モジュールに[Mauticリンク]などの名前で[URL]属性のフィールドを追加します。

リンクの形式は以下の形で一定です。番号部分がMautic上のコンタクトのIDとなります。

https://ドメイン&インストール環境/s/contacts/view/番号

このリンクをクリックするとMauticの該当のコンタクトの情報を確認することができます。

同じ画面に統合はされていませんが、1クリックで必要な情報を確認できるようになります。

なお、運用上、少々めんどくさいなと思う以下の点もRPAでクリアできます。

①二つのシステムへのログイン → RPAで自動化

➁URLの登録 → 上述のコンタクトデータの連携登録時に合わせてRPAで入力

この他にも開発の規模が少々大きくなりますが、VtigerCRM側で新規のモジュール[Web閲覧履歴]を作成し、Mauticから閲覧履歴のデータをインポートすることでVtigerCRMの画面上に情報を統合することも可能です。

今回はMauticとVtigerCRMの連携方法について解説いたしました。叶うならばOSS用のプラグインが早くできて欲しいですね。

以上になります。